休業手当が最大90%助成される雇用調整助成金の特例措置まとめ

コロナウイルスの影響で、止む終えず休業を検討されている事業者様に朗報です。

今回の新型コロナウイルスの影響を受け、雇用する従業員の休業期間中の手当助成について特例措置の拡大が発表されました。

出典:厚生労働省-雇用調整助成金ページ

先日の小池東京都知事の会見でもあったように、今後は週末以外にも平日の外出自粛が要請されています。

御存知の通り「助成金」は融資と違って返済不要なのが最大のメリット。

今まで以上に来店数減少や売上低下は避けられない状況ですが、もし一時的な休業をお考えでしたらこの制度はきっと役に立つはずです。

目次

雇用調整助成金の対象かをチェック

雇用調整助成金の対象となる事業者

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全ての事業者(全業種)が雇用調整助成金の対象となります(※風俗営業関係事業主、過去に不正受給を行った事業者は対象外)。

前年同期と比較して1ヶ月の売上が10%以上ダウン

新型コロナウイルスの特例措置により、従来は直近3ヶ月で10%以上の売上ダウンだったところ、前年同期と比較して1ヶ月で10%以上ダウンしていれば支給対象となります。

前年同期と比較して1ヶ月の売上が5%ダウン(4/1~6/30の緊急対応期間)

4/1~6/30までの緊急対応期間中は1ヶ月の売上が5%ダウンでも助成金の支給対象となります。

雇用調整助成金の対象となる「休業」について

助成金の支給対象となる休業は次の2つです。

店舗を丸一日休業させる場合

労使間の協定により、所定労働日の計画届全一日にわたって実施されるものであること。

1時間単位で従業員を休業させる場合

短縮営業など時間単位で休業する場合は。店舗の被保険者全員が一斉に1時間以上実施されること(※緊急対応期間中は被保険者「全員一斉」でなくとも可)。

雇用調整助成金はパートやアルバイトも対象になる?

従来の雇用調整助成金は「雇用保険被保険者」のみ対象でしたが、緊急対応期間中であれば正社員以外のアルバイトやパートも特例で助成対象となります。

  • 雇用保険の加入期間が6ヶ月未満の従業員
  • 雇用保険に加入していないアルバイトやパート
  • 緊急対応期間前に提出した計画届けに記載以外の雇用保険被保険者

助成される金額(受給率)

助成金の受取額は休業する期間と、従業員に支払う休業期間中の手当の額によって決まります。

※スマホは横スクロール可

期間と条件中小大企業
4/1~6/30(解雇等なし)9/10(90%)3/4(75%)
4/1~6/30(解雇等あり)4/5(80%)2/3(67%)
それ以外の期間2/3(67%)1/2(50%)

緊急対応期間中の休業で、従業員の解雇等行わない場合は、休業手当の最大90%が助成されます。

※受給上限 8,330円(2020年3月1日以降)

止む終えず解雇等行う場合でも、最大80%が助成されるため、解雇予定の従業員にとっても今後の生活を支える助けになるはずです。

実際に助成される休業手当の額をシミュレート

  • コロナウイルスの影響で10日間の休業を決定
  • 月給250,000円(20日間勤務)の従業員が3名

上記のケースで休業する場合、店舗側が定める「休業手当の補償率」と休業後の総支給額はこのようになります。

※スマホは横スクロール可

店舗の補償率総支給額休業控除休業手当休業日数休業後の総支給額
日給の100%250,000円12,500円12,500円10日250,000円
日給の80%250,000円12,500円10,000円10日225,000円
日給の60%250,000円12,500円7,500円10日200,000円

当然ですが、補償率が低くなるほどに給与の総支給額は下がります。

では次に今回の特例で助成される金額をシミュレートしてみましょう。

雇用調整助成金は次の3つの項目から計算されます。

  • 前年度の平均賃金日額
  • 休業手当の補償率
  • 休業日数

今回の特例措置により、解雇を行わない休業では最大90%が助成されるので、そちらをベースにした助成額のイメージがこちらです。

※スマホは横スクロール可

平均日額補償率助成率助成額(日額)助成額合計助成がない場合
12,500円日給の100%90%8,330円(上限)249,900375,000円
12,500円日給の90%90%8,330円(上限)249,900337,500円
12,500円日給の80%90%8,330円(上限)249,900300,000円
12,500円日給の70%90%7,875円236,250262,500円
12,500円日給の60%90%6,750円202,500225,000円

平均賃金日額が12,500円、補償額が80%だった場合、3人の従業員に本来支払う休業手当の合計はたった10日でも300,000円もの大金に・・・。

ですが、雇用調整助成金を利用すればその内249,900円が助成されるため、実際の手出しはわずか50,100円となります。

まだまだ先が見えない状況なので、たった10日で事態が収束するとは思えませんが、仮に10日以上の休業を行わなければならなかっとしても、店舗の負担が大幅に減るのは間違いありません。

助成金対象期間中に残業した場合はどうなる?

助成対象の期間中(計画届で予定した期間、緊急対応期間)に残業が発生した場合、残業時間相当分を休業時間から差し引いて助成金が減らされます。

全日休業ならばそもそも残業が発生することはありませんが、営業時間の短縮による休業で申請する際は、期間中できる限り残業が発生しないような体制を整えておくことが大切です。

雇用調整助成金の支給限度日数について

雇用調整助成金の支給限度日数は1年100日、3年150日が基本ですが、緊急対応期間中の3ヶ月間だけでも対象となります。

雇用調整助成金の申請方法について

雇用調整助成金は次の手順で管轄のハローワークにて申請を行います。

①従業員への説明と過半数の同意を得る

休業を決定する際は、休業する日数や休業中の賃金補償率などをしっかりと説明し、過半数の同意を得る必要があります。

②ハローワークに休業計画届を提出

コロナウイルスの緊急対応期間中に申請を行う場合、計画届は事後の提出が認められています。

申請に必要になる書類は次の3つです。

休業等実施計画(変更)届
休業協定書
労働者代表選任書または委任状(労働組合がない場合)

各書類のダウンロード先

休業実施計画(変更)届のダウンロード先

ページを開くとPDFファイル、Wordファイルが用意されているので都合が良い方をダウンロードしてください。

休業協定書と労働者代表選任書のダウンロード先

ページを開くと競技協定書と労働者代表専任書が同じページからダウンロードできるようになっています。

③助成金の支給申請と支給日

判定基礎期間(原則「賃金締切日」)ごとに、その末日の翌日から2ヶ月以内に、労使協定で定めたとおりに休業が行われたことの確認を得てから次の書類を提出することで申請となります。

※判定基礎期間とは会社でいう「賃金締切日」のことです。(毎月末締め、毎月16~翌15日締め等)

  • 支給申請書
  • 支給要件申立書など

締切を1日でも過ぎてしまうと助成金が受け取れないので申請書の提出日にはくれぐれもご注意ください(※締切日が休日の場合、その翌日が締切日となります)。

例)判定基礎期間が4月15日~5月16日の場合、申請期限は5月16日~7月15日まで

無事申請が完了すると、おおむね2ヶ月後を目安に支給・不支給が決定され、助成金が支給されます。

雇用調整助成金の支給まとめ

現在の状況は店舗オーナー、責任者の皆様にとって本当にお辛い状況かと思います。

「営業」すれば感染を広げる原因だと非難され、世間や従業員のことを考え「休業」すれば売上は0になり誰も補償してくれません。

何が正解なのか我々も模索中ですが、もしこの先、休業をお考えなら国からの補償が期待できない代わりに返済不要の助成金や特例措置を徹底的に利用することを強く推奨します。

この記事が一人でも多くの店舗経営者様に届き、上手く活用されることを願っています。

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